「図面に書いてある"SWCH"って何?」「見積もりの"低炭素鋼"ってどんな鉄?」——ボルトを扱っていると出てくるけれど、意外と説明されない言葉です。
この記事では、ボルトの"元の材料"であるSWCH(低炭素鋼)を、専門用語をぜんぶかみ砕いて、初心者の方にもわかるようにやさしく解説します。
まず結論:SWCH=「ボルトを叩いて作るための、やわらかい鉄」
いきなり答えです。
なぜ"やわらかい鉄"なのか? それは、ボルトが「叩いて」作られるからです。順番に見ていきましょう。
① ボルトは"削る"のではなく"叩いて"作られる
意外かもしれませんが、世の中のボルト・ネジの多くは、鉄を削って作るのではなく、「冷間圧造(れいかんあつぞう)」という方法で作られます。
冷間圧造を、かんたんに言うと——常温の鉄の棒を、金型でギュッと押しつぶして、頭の形を一瞬で作る技術です。
ここで大事なのが材料選び。叩いても割れない、粘りのあるやわらかい鉄でないと、頭を作るときにパキッと割れてしまいます。だから——やわらかい「低炭素鋼」が選ばれるわけです。
② 「炭素」は、鉄に混ぜる"スパイス"
「低炭素鋼」の"炭素"とは何か。これがこの記事のキモです。
鉄は、炭素(たんそ)というスパイスをほんの少し混ぜるだけで、性格がガラッと変わります。
料理で塩や香辛料を入れすぎると味がきつくなるのと同じ。炭素は"入れるほど硬く・強くなるけれど、もろくなる"という関係です。ボルトを叩いて作るには、ほどよくやわらかい低炭素鋼がちょうどいい、というわけです。
③ 記号の読み方:「SWCH10R」って何?
SWCHには、後ろに数字やアルファベットが付きます。これは材料の"プロフィール"のようなもの。
たとえば SWCH10R なら「冷間圧造用の、炭素0.10%くらいの、Rタイプの鋼線」という意味。数字を見れば、やわらかめ(数字小)か、やや硬め(数字大)かの見当がつきます。
④ 強度が欲しいときは?──"焼き入れ"と"より強い鉄"
「やわらかい鉄でボルトを作って、強度は大丈夫?」と思いますよね。
普通のボルト(強度区分4.8など)は、低炭素鋼のままで十分です。でも、もっと強いボルト(8.8・10.9・12.9)が必要なときは——
つまり「やわらかい鉄を叩いて形を作り → 必要なら熱処理で強くする」という流れ。材料と熱処理の組み合わせで、ボルトの強さは決まるのです。
⑤ SWCH(炭素鋼)を使うときの注意点
最後に、低炭素鋼のボルトを使うときのポイントです。
まとめ
普段は気にしない「ボルトの素材」。でも、やわらかい鉄を叩いて、必要なら鍛えて強くする——そんな工夫の積み重ねで、1本のボルトはできています。材料選びに迷ったら、ぜひ専門商社にご相談ください。
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株式会社三和ファスナー創業者。2003年の創業以来、20年以上にわたりネジ・ボルト・ファスニング関連商品の販売と特殊切削加工に携わる。製造業・建設業向けの選定相談・トラブル対応を多数手掛ける名古屋エリアのファスニング専門家。
本記事は上記監修者の確認を経て公開しています。記載内容は一般的な情報であり、個別案件のご判断は必ず原典規格・図面に基づき、必要に応じて専門家にご相談ください。
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