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ボルトの材料「SWCH(低炭素鋼)」とは?初心者向けにやさしく解説|記号の読み方・冷間圧造のしくみ

監修:山下 朋幸代表取締役
ボルトの材料「SWCH(低炭素鋼)」とは?初心者向けにやさしく解説|記号の読み方・冷間圧造のしくみのサムネイル

「図面に書いてある"SWCH"って何?」「見積もりの"低炭素鋼"ってどんな鉄?」——ボルトを扱っていると出てくるけれど、意外と説明されない言葉です。

この記事では、ボルトの"元の材料"であるSWCH(低炭素鋼)を、専門用語をぜんぶかみ砕いて、初心者の方にもわかるようにやさしく解説します。

まず結論:SWCH=「ボルトを叩いて作るための、やわらかい鉄」

いきなり答えです。

SWCH = ボルトやネジを作るための鉄の線材(ワイヤー)のこと
正式には「冷間圧造用炭素鋼線材(れいかんあつぞうよう たんそこう せんざい)
その多くが「低炭素鋼」=やわらかくて加工しやすい鉄

なぜ"やわらかい鉄"なのか? それは、ボルトが「叩いて」作られるからです。順番に見ていきましょう。

① ボルトは"削る"のではなく"叩いて"作られる

意外かもしれませんが、世の中のボルト・ネジの多くは、鉄を削って作るのではなく、「冷間圧造(れいかんあつぞう)」という方法で作られます。

冷間圧造を、かんたんに言うと——常温の鉄の棒を、金型でギュッと押しつぶして、頭の形を一瞬で作る技術です。

イメージは「お餅やねんどを、型に押し付けて形を作る」感じ。鉄を熱で溶かさず、冷たいまま強い力で成形するので「冷間(れいかん=冷たいまま)」と呼びます。1秒間に何本も作れる、すごい量産技術です。

ここで大事なのが材料選び。叩いても割れない、粘りのあるやわらかい鉄でないと、頭を作るときにパキッと割れてしまいます。だから——やわらかい「低炭素鋼」が選ばれるわけです。

② 「炭素」は、鉄に混ぜる"スパイス"

「低炭素鋼」の"炭素"とは何か。これがこの記事のキモです。

鉄は、炭素(たんそ)というスパイスをほんの少し混ぜるだけで、性格がガラッと変わります。

炭素が少ない(低炭素鋼) → やわらかい・粘りがある・加工しやすい・割れにくい(でも強度は控えめ)
炭素が多い(高炭素鋼) → 硬い・強い(でも、もろくて割れやすい・加工しにくい)

料理で塩や香辛料を入れすぎると味がきつくなるのと同じ。炭素は"入れるほど硬く・強くなるけれど、もろくなる"という関係です。ボルトを叩いて作るには、ほどよくやわらかい低炭素鋼がちょうどいい、というわけです。

🔩 SWCH材のボルトはもちろん、強度区分や材質の指定があるボルトも1個から手配します。 「この用途にどの材料?」のご相談も、名古屋の三和ファスナーにお気軽にどうぞ。
メールで相談・お見積り / 📞 052-432-4010(平日 8:30〜17:30)

③ 記号の読み方:「SWCH10R」って何?

SWCHには、後ろに数字やアルファベットが付きます。これは材料の"プロフィール"のようなもの。

記号意味
SSteel(スチール=鋼・鉄)
WWire(ワイヤー=線材)
CHCold Heading(コールドヘディング=冷間圧造)
10・16・18など炭素の量の目安(10=炭素 約0.10%)。数字が大きいほど炭素が多く硬め
末尾のA・K・R鋼の作り方(脱酸の方法など)の違いを表す記号

たとえば SWCH10R なら「冷間圧造用の、炭素0.10%くらいの、Rタイプの鋼線」という意味。数字を見れば、やわらかめ(数字小)か、やや硬め(数字大)かの見当がつきます。

④ 強度が欲しいときは?──"焼き入れ"と"より強い鉄"

「やわらかい鉄でボルトを作って、強度は大丈夫?」と思いますよね。

普通のボルト(強度区分4.8など)は、低炭素鋼のままで十分です。でも、もっと強いボルト(8.8・10.9・12.9)が必要なときは——

炭素が少し多めの鋼(中炭素鋼)や、クロム・モリブデンを加えた合金鋼(クロモリ=SCM435など)を使い、
「焼き入れ(やきいれ)」という熱処理でギュッと鍛えて、硬く・強くします。

つまり「やわらかい鉄を叩いて形を作り → 必要なら熱処理で強くする」という流れ。材料と熱処理の組み合わせで、ボルトの強さは決まるのです。

ちょっと余談:「冷間」と「熱間」、何が違う? 鉄を常温のまま叩くのが「冷間(れいかん)」、真っ赤に熱してから叩くのが「熱間(ねっかん)」。冷間は表面がきれいで寸法も正確、しかも超高速で量産できるのが強み。私たちが使う小〜中サイズのボルトの多くは冷間圧造です。一方、M30を超えるような大きなボルトは、熱して成形する熱間鍛造で作られることが多くなります。同じ"叩いて作る"でも、サイズで作り方が変わるんです🔥

⑤ SWCH(炭素鋼)を使うときの注意点

最後に、低炭素鋼のボルトを使うときのポイントです。

そのままでは錆びる → 鉄なので、ユニクロ・三価クロメート・亜鉛めっきなどの表面処理が必須
強度が必要なら材料・熱処理を指定 → 高強度が要るなら4.8では足りない。用途に合う強度区分を
錆を避けたいならステンレス → 屋外・水回りはSUS304などを検討
もうひとつ余談:1本のボルトができるまで。 ①鉄の線材(SWCH)を ②まっすぐに伸ばして ③冷間圧造で頭を一瞬で成形し ④「転造(てんぞう)」でねじ山を転がしながら作り ⑤必要なら熱処理で強くして ⑥表面処理で錆びにくくする——この流れを、機械がものすごい速さでこなします。何気なく使う1本のボルトにも、ちゃんと"製造のドラマ"があるんです🏭

まとめ

SWCH=冷間圧造用の炭素鋼線材。ボルト・ネジを"叩いて"作るための鉄の材料
その多くが低炭素鋼=やわらかく加工しやすい鉄(割れずに頭を成形できる)
炭素は鉄のスパイス。少ない=やわらかい・加工しやすい/多い=硬い・強いがもろい
記号の数字は炭素量の目安(10=約0.10%)
強い ボルトが欲しいときは、中炭素鋼・合金鋼+焼き入れで鍛える
炭素鋼は錆びるので、表面処理とセットで使う

普段は気にしない「ボルトの素材」。でも、やわらかい鉄を叩いて、必要なら鍛えて強くする——そんな工夫の積み重ねで、1本のボルトはできています。材料選びに迷ったら、ぜひ専門商社にご相談ください。

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Reviewed by

山下 朋幸
山下 朋幸代表取締役

株式会社三和ファスナー創業者。2003年の創業以来、20年以上にわたりネジ・ボルト・ファスニング関連商品の販売と特殊切削加工に携わる。製造業・建設業向けの選定相談・トラブル対応を多数手掛ける名古屋エリアのファスニング専門家。

ボルト・ナット選定ステンレス・特殊鋼切削加工小ロット調達名古屋・愛知エリアの製造業ネットワーク

本記事は上記監修者の確認を経て公開しています。記載内容は一般的な情報であり、個別案件のご判断は必ず原典規格・図面に基づき、必要に応じて専門家にご相談ください。

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