結論:三価クロメートとユニクロの違い(早見表)
先に結論です。見た目はそっくり。いちばんの違いは「六価クロムを使うかどうか」です。
| 項目 | ユニクロ(光沢クロメート) | 三価クロメート(三価ホワイト) |
|---|---|---|
| 中身 | 亜鉛めっき+六価クロムの皮膜 | 亜鉛めっき+三価クロムの皮膜 |
| 色 | 青みのある銀色 | 白っぽい銀色〜うっすら虹色(処理液で幅あり) |
| 六価クロム | 含む | 処理液に使わない |
| RoHS・ELV(環境規制) | ❌ 対応できない | ✅ 対応品として使える |
| 錆びにくさ | クロメートの中では控えめ(皮膜がいちばん薄い) | ユニクロと同等以上とされることが多い(処理条件で差が出やすい) |
| 小さな傷を自分で直す力 | あり | なし |
| 熱への強さ | 約60℃以上で皮膜にひびが入りやすい | 200℃以上でもひびが入りにくい |
| 価格 | 安い | やや高い |
| 今の位置づけ | 縮小傾向(既存品の補修など) | 新しく使うならこちらが主流 |
※ 自己修復・熱への強さ・処理液による色の違いは、大阪府の公設試験研究機関(現・大阪産業技術研究所)の技術資料にもとづいています(出典は記事の最後に記載)。
たとえるなら「同じデザインの制服、染料だけ新しくした」
表面処理は、錆びやすい鉄のネジに服を着せてあげるようなものです。
ユニクロと三価クロメートは、同じデザインの普段着で、染料だけを入れ替えた新旧モデルです。旧モデル(六価)の染料は、ほつれを自分で繕う不思議な力がある代わりに、体や環境によくない成分を含んでいました。新モデル(三価)は安全で熱にも強い一方、自分で繕う力はありません。見た目では見分けがつかないので、タグ(伝票・書類)で確かめるのが確実です。
そもそも「ユニクロ」「三価クロメート」とは?
どちらも2段構えの処理です。
亜鉛には面白い性質があります。傷がついて下の鉄が少し見えても、まわりの亜鉛が先に溶けて鉄を守ってくれるのです(犠牲防食といいます)。鉄の代わりに自分が傷つく"身代わりの盾"なので、亜鉛めっきは小さな傷があっても錆が広がりにくくなります。
六価クロムの皮膜は、処理の条件によって色と強さが変わります。
| 六価クロムの処理(昔ながら) | 色 | 錆びにくさ | 三価クロムでの代わり |
|---|---|---|---|
| 光沢クロメート(ユニクロ) | 青みのある銀色 | 控えめ(皮膜がいちばん薄い) | 三価クロメート(白・三価ホワイト) |
| 有色クロメート(黄色クロメート) | 黄色〜虹色 | ユニクロより高い | 三価の有色(黄色系) |
| 黒色クロメート | 黒 | 有色クロメートより控えめ | 三価ブラック |
ほかに緑色(オリーブドラブ)のクロメートもあります。「クロメート」とだけ言うと、現場では黄色の有色クロメートを指すことが多いので、色まで書いて注文すると行き違いが防げます。
なぜ三価に切り替わったのか(RoHS・ELV)
六価クロムは人体への有害性(発がん性など)が問題になり、ヨーロッパを中心に規制が進みました。
| 規制 | 対象 | 六価クロムの扱い |
|---|---|---|
| ELV指令(EU) | 自動車 | 2003年7月1日以降に市場に出る車の部品には原則使えない。防錆コーティングの例外は2007年7月1日まで、シャシー用ボルト・ナットの防錆コーティングは2008年7月1日まで |
| RoHS指令(EU) | 電気・電子機器 | 2006年7月施行。均質な材料ごとに0.1%(重量比)までに制限 |
2008年の公設試験研究機関の資料では、自動車部品のクロメートは全面的に三価に代わり、電気・電子部品や建築金物も三価へ移りつつあると報告されています。今ではネジの表面処理も、新しく採用するなら三価が基本です。
見分け方と、注文で失敗しない書き方
① 色で見る(あくまで目安)
ただし三価クロメートの処理液は国内でも複数のメーカーが出していて、色合いが少しずつ違います。色だけで決めつけないでください。
② 伝票・ラベル・カタログの表記を見る
③ 書類で確かめる(RoHS対応が必須のとき)
RoHS対応をお客様に保証する必要がある場合は、含有化学物質の調査回答などの書類で確認するのが確実です。用意できる書類はメーカー・品目によって違うので、ご注文の時点で「どの書類が必要か」をお知らせください。手配先に確認してご案内します。
ユニクロ・三価以外も比較:表面処理の早見表
| 処理 | 見た目 | 錆びにくさ(目安) | RoHS | コスト | 向いている場所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 無処理(生地) | 金属の地肌 | ✕ | ○ | 安い | 短期間の保管・塗装する前提 |
| ユニクロ(六価) | 青みのある銀色 | △ | ✕ | 安い | 既存品の補修(新しく使うのは非推奨) |
| 有色クロメート(六価) | 黄色〜虹色 | ○ | ✕ | 安い | 同上 |
| 三価クロメート(白) | 白っぽい銀色 | △〜○ | ○ | やや安い | 屋内全般・RoHS対応品 |
| 三価ブラック | 黒 | △〜○ | ○ | やや安い | 黒い見た目+RoHS対応 |
| 黒染め | つや消しの黒 | ✕〜△(防錆油が前提) | ○ | 安い | 屋内の機械・治具 |
| ニッケルめっき | ツヤのある銀色 | ○ | ○ | 中 | 見た目を重視する部品 |
| 溶融亜鉛めっき | 灰色・厚い皮膜 | ◎ | ○ | 中 | 屋外の鉄骨・設備・架台 |
| 亜鉛フレーク(ジオメットなど) | 銀灰色 | ◎ | ○ | 高い | 自動車部品・高強度ボルト・屋外 |
※ 錆びにくさは一般的な傾向です。皮膜の厚さ・処理条件・使う環境で変わります。印刷できる一覧はお役立ち資料の「表面処理ガイド」にもあります。
溶融亜鉛めっき(ドブめっき)
約460℃に溶かした亜鉛のお風呂に、ネジや鋼材をまるごと浸ける方法です。皮膜は数十μm以上と、電気亜鉛めっきよりずっと厚くなります(JIS H 8641)。2021年のJIS改正で、記号が付着量で表す「HDZ」から膜厚で表す「HDZT」(例:HDZT 35=35μm以上)に変わったので、新旧の図面を見比べるときは注意してください。
皮膜が厚いぶん、ナットは溶融亜鉛めっき用(ねじ穴を大きめに仕上げたもの)を組み合わせるのが基本です。普通のナットだと入らないことがあります。
亜鉛フレーク(ジオメットなど)
亜鉛とアルミの細かいうろこ状の粉(フレーク)を含む塗料を塗って焼き付ける処理で、JIS B 1046(ISO 10683)に決まりがあります。「ジオメット」はこの処理の代表的な商品名です。電気めっきは処理中に水素が発生し、強度の高いボルト(10.9・12.9など)では水素脆化(あとから突然折れる現象)のおそれがあることが知られています。亜鉛フレークは電気を使わない処理なので、この心配が少ないとされ、自動車部品や高強度ボルトで選ばれています。
黒染め
鉄の表面を化学的に黒くする処理で、皮膜そのものの防錆力は弱めです。防錆油とセットで、屋内の機械・治具に使います。
用途別の選び方
| 使う場所・条件 | おすすめの処理 |
|---|---|
| 屋内・乾いた場所(一般機械・制御盤まわり) | 三価クロメート(白) |
| RoHS対応が必要・自動車部品 | 三価系(白・黒)、指定があれば亜鉛フレーク |
| 黒い見た目にしたい | 三価ブラック(屋内の治具なら黒染め+防錆油も) |
| 雨ざらしの屋外・鉄骨・架台 | 溶融亜鉛めっき |
| 強度の高いボルトを錆から守りたい | 亜鉛フレーク(ジオメットなど) |
| 水回り・食品・薬品 | 表面処理ではなくステンレス(SUS304とSUS316の違い) |
まとめ
表面処理の指定品も、名古屋の三和ファスナーへ
三価クロメート・三価ブラック・溶融亜鉛めっき・ジオメットなど、処理を指定したネジ・ボルトを1個から手配します。「今ついているネジと同じ処理で」「ユニクロから三価に切り替えたい」もお気軽にどうぞ。在庫品のお見積りは即日、特殊品は原則1〜2営業日でお返事します。
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この記事の出典
よくあるご質問
Q.三価クロメートとユニクロの違いは何ですか?
A.どちらも亜鉛めっきの上にクロムの薄い皮膜をつけた処理で、見た目はよく似た銀色です。違いは皮膜に使うクロムの種類で、ユニクロ(光沢クロメート)は六価クロムを含むため、RoHS指令(電気・電子機器)やELV指令(自動車)の規制に対応できません。三価クロメートは処理に六価クロムを使わないので、RoHS対応品として現在の主流になっています。
Q.ユニクロと三価クロメートは見た目で区別できますか?
A.難しいです。ユニクロは青みのある銀色、三価クロメートは白っぽい銀色〜うっすら虹色で、処理液のメーカーによっても色合いが少しずつ違います。並べても判別しにくいので、納品書・ラベルの表記や、仕入先が出す含有化学物質の調査回答などの書類で確認するのが確実です。
Q.「ユニクロ」と書いて注文すると、六価と三価のどちらが届きますか?
A.仕入先によって違います。最近は三価クロメートの品を慣習的に「ユニクロ」と呼んで扱う例もあり、名前だけでは判断できません。RoHS対応が必要な場合は「三価クロメート(白)」「三価ホワイト」のように、三価と明記して注文してください。
Q.三価クロメートなら六価クロムは完全にゼロですか?
A.処理液に六価クロムは使いませんが、大阪府の公設試験研究機関(現・大阪産業技術研究所)の資料では、処理条件などによって皮膜から六価クロムが検出される場合があると報告されています。厳密な保証が必要な場合は、仕入先の調査回答や分析結果で確認してください。
Q.表面処理をすれば屋外でも錆びませんか?
A.処理によります。ユニクロや三価クロメートは皮膜が1μm(0.001mm)以下と薄く、屋内〜軽い屋外向けです。雨ざらしの屋外で長持ちさせたいなら、皮膜の厚い溶融亜鉛めっきや亜鉛フレーク(ジオメットなど)、または最初からステンレスを検討してください。
Q.黒いネジ(黒染め)は錆びにくいですか?
A.黒染めの皮膜そのものの防錆力は弱く、防錆油とセットで屋内の機械・治具に使うのが基本です。黒い見た目とRoHS対応・防錆を両立したい場合は、三価クロメートの黒(三価ブラック)が選ばれます。
Q.ネジの「ユニクロ」は衣料品店と関係ありますか?
A.無関係です。ネジの「ユニクロ」は光沢クロメート(ユニクローム)の通称で、名前が似ているだけです。
この記事の監修

株式会社三和ファスナー創業者。2003年の創業以来、20年以上にわたりネジ・ボルト・ファスニング関連商品の販売と特殊切削加工に携わる。製造業・建設業向けの選定相談・トラブル対応を多数手掛ける名古屋エリアのファスニング専門家。
本記事は上記監修者の監修のもと作成しています。公開後の更新(数値の確認・表現の修正など)は、規格や公的資料をもとに編集担当が行っています。記載内容は一般的な情報であり、個別案件のご判断は必ず原典規格・図面に基づき、必要に応じて専門家にご相談ください。
このネジ、1個から手配できます
「三価クロメートとユニクロの違い|見た目・耐食性・RoHSの見分け方」に関するネジ・ボルトは、名古屋の三和ファスナーが1個から手配します。
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