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服は98.5%が輸入品。じゃあボルトは?──国産ねじの割合を統計で調べてみた

監修:三和ファスナー編集部(技術編集部)
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服のタグ、最後に「日本製」を見たのはいつ?

手元の服のタグを見てみてください。「Made in China」「Made in Vietnam」「Made in Bangladesh」……。日本製を探すほうが難しいかもしれません。

実際、日本繊維輸入組合のまとめでは、2023年に日本で供給された服のうち、国産品の割合(数量)はわずか1.5%。残りの98.5%は輸入品です。国内で作られた服は6,423万点で、2001年(約4億5,900万点)のおよそ7分の1まで減りました。

では、私たちが毎日扱っているネジ・ボルトの世界はどうなのか? 国の統計と業界団体の数字で調べてみました。

結論:ねじは「ほとんど国産」、しかも「輸出国」

先に答えを言うと、服とはまったく逆でした。

服ねじ・ボルト
国産の割合1.5%(数量・2023年)約85%(金額で見た目安)
国内の生産6,423万点(2023年)335万トン・1兆401億円(2024年・推計)
輸出―29.8万トン・3,343億円(2023年)
輸入国内に出回る服の98.5%約8.6億ドル=およそ1,200億円(2023年)
国内で使われるねじの、おおよそ85%は国産(金額で見た目安)
輸出は輸入の約2.8倍。日本は「ねじを買う国」ではなく「ねじを売る国」です

※服は日本繊維輸入組合、ねじの国内生産は日本ねじ工業協会の推計、輸出入は財務省の貿易統計などをもとにしています(出典は記事の最後にまとめました)。

「約85%が国産」はどうやって出した?

国内で使われるねじの量は、ざっくり 「国内で作った分 − 海外に売った分 + 海外から買った分」 で表せます。金額で当てはめると、次のとおりです。

国内で作った分:約1兆401億円(2024年・日本ねじ工業協会の推計)
海外に売った分:約3,343億円(2023年・財務省)
海外から買った分:約1,200億円(2023年。約8.6億ドルを、当時の為替1ドル=約140円で円に直した目安)

すると、国内で使われるねじは約8,300億円。そのうち輸入品は約1,200億円なので、輸入品の割合はおよそ15%、国産はおよそ85% になります。

⚠️ 生産と貿易で年が1年ずれていることや、統計ごとに集計の範囲が少し違うことから、ここでの数字はざっくりとした目安です。それでも「服の1.5%」とは、桁がまったく違うことは分かります。

なぜ服とねじで、こんなに差がついた?

たとえるなら「手打ちそば」と「製麺機」

服づくりは、手打ちそばに似ています。布を裁ち、ミシンで縫い、仕上げる——たくさんの人の手がかかります。人の手がかかる仕事ほど、人件費の安い国で作ったほうが安くなるので、生産が海外に移っていった、というのが大きな理由のひとつと言われます。

一方、ねじづくりは製麺機に近い世界です。針金のような線材を機械で切って、頭を押しつぶして形を作り(圧造)、ねじ山を転がして付ける(転造)。1分間に数百本を作れる機械もあり、人の手より機械の性能が勝負になります。人件費の差が、服ほどは効きにくいわけです。

ほかにも考えられる理由

使う人がすぐ近くにいる:日本には自動車や機械のメーカーが多く、ねじはその組み立てに欠かせません。強度・寸法の厳しい品質や、決まった日に確実に届くことを求められるので、近くで作るメリットが大きいと考えられます。
海外の工場にも日本のねじが行っている:2023年の輸出先は、アメリカ(約25%)、中国(約19%)、タイ(約12%)の順。日本の自動車メーカーの工場が多い国が並んでいます。
☕ ちょっと余談:服は「首のタグ」、ボルトは「頭の刻印」。 服は首元のタグで生産国が分かりますが、ボルトにはタグがありません。そのかわり、強度区分8.8などの六角ボルトの頭には、強度区分の数字やメーカーの識別記号が刻まれているものが多くあります。現物から「どこのメーカーのどの強さのボルトか」をたどる手がかりになる、いわばボルトの名札です。手元のボルトの頭、一度のぞいてみてください🔩

とはいえ、輸入品も身近な存在

国産が中心とはいえ、輸入品もたくさん使われています。

輸入元のトップは中国(2023年・金額で約36%)
品目によっては台湾が強く、例えば2026年7月の財務省の統計では、セルフタッピンねじの輸入は台湾が約6割(数量)を占めています
一方、ばね座金(スプリングワッシャー)の輸入は中国が9割以上(同じく数量)

「安いものは輸入、品質や納期が大事なものは国産」と、使う場面によって上手に使い分けられているのが、ねじの世界の今の姿です。

☕ もうひとつ余談:「輸入品=安い」とは限らない時代。 日本銀行の輸入物価指数で見ると、輸入されるボルト・ナットの値段は、2025年11月時点で2020年のおよそ1.5倍(2020年=100に対して145.5)。円安や原材料の値上がりもあって、「とりあえず輸入品なら安い」という時代ではなくなってきています。値段だけでなく、品質・納期・相談のしやすさまで含めて選ぶ目が、これからますます大事になりそうです💡

まとめ

服:国産はわずか1.5%(2023年・数量)。生産は2001年の約7分の1に
ねじ・ボルト:国内で使われる分のおよそ85%が国産(金額で見た目安)。輸出は輸入の約2.8倍
差がついた理由は、人の手が中心の服と、機械で大量に作るねじというつくり方の違いや、すぐ近くに大口の使い手(自動車・機械)がいることなどが考えられます
輸入品も、中国・台湾などから多く入っていて、用途に合わせて使い分けられています

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あわせて読みたい

この記事で使った数字の出典

服の国産割合・国内生産:日本繊維輸入組合「日本のアパレル市場と輸入品概況」(WWD JAPANの報道より)
ねじの国内生産(2024年・推計):日本ねじ工業協会(金属産業新聞の報道より)
ねじの輸出(2023年):財務省 貿易統計(同紙の報道より)
ねじの輸入額・輸入元・輸出先(2023年、HSコード7318):TrendEconomy の集計
品目別の輸入元(2026年7月):財務省 貿易統計(金属産業新聞の統計ページより)
輸入ボルト・ナットの物価指数:日本銀行 輸入物価指数(同紙の報道より)

よくあるご質問

Q.日本で使われるねじ・ボルトは国産が多いのですか?

A.多いです。日本ねじ工業協会の国内生産の推計と財務省の貿易統計から計算すると、国内で使われるねじのおよそ85%(金額で見た目安)が国産です。服の国産割合が1.5%(2023年・数量)なのと比べると、正反対の状況です。

Q.ねじの輸入はどこの国からが多いですか?

A.2023年は中国が最も多く、金額でおよそ36%を占めます。品目によっては台湾が首位のものも多く、例えば2026年7月の財務省の統計では、セルフタッピンねじの輸入の約6割(数量)が台湾からでした。

Q.日本はねじを輸出しているのですか?

A.しています。2023年の輸出は29.8万トン・約3,343億円(財務省)で、輸入の約2.8倍です。主な輸出先はアメリカ(約25%)、中国(約19%)、タイ(約12%)です。

Q.国産と輸入品、どちらを選べばいいですか?

A.用途しだいです。品質書類(ミルシートなど)が必要な場合や、品質・納期を重視する場合は国産、数が多く価格を重視する場合は輸入品、と使い分けるのが一般的です。迷ったら、用途・必要な書類・納期・予算をお知らせください。

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この記事の監修

三和ファスナー編集部技術編集部

株式会社三和ファスナーの技術編集部。営業・倉庫・購買の現場知見をもとに、製造業のお客様に役立つ実務情報を発信しています。数値は国の統計・JIS規格・公的資料で確認してから掲載しています。

ネジ・ボルト全般材質・表面処理規格(JIS・ISO)現場ノウハウ

本記事は上記監修者の監修のもと作成しています。公開後の更新(数値の確認・表現の修正など)は、規格や公的資料をもとに編集担当が行っています。記載内容は一般的な情報であり、個別案件のご判断は必ず原典規格・図面に基づき、必要に応じて専門家にご相談ください。

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